高齢者の交通事故は「運転中」よりも「歩行中」が危ない
【実は運転中よりも多い、歩行中の交通事】
昨今、高齢者ドライバーによる交通事故のニュースが増え、メディアでも取り上げられ、よく見聞きすることがあるかと思います。
しかし、高齢者の交通事故で危ないのは「運転中」だけではありません。人口10万人当たりの交通事故の比率で見ると、「運転中」の交通事故よりも、「歩行中」の交通事故の方がずっと多いことが警視庁の発表資料より、読み取ることができます。
出典:警視庁
【自分が交通違反することが事故を招く】
どんあ理由で高齢者の歩行中の事故が多いのでしょうか?
高齢になると目や耳が衰え、反射的な行動も取りにくくなります。若い現役の世代なら、事故にならなかった場合でも、高齢者では事故に結びついてしまうケースも多くなってしまいます。また、高齢になればなるほど、自分が交通違反をしたことによって交通事故に遭うケースが増えています。
例として、道路を横断中に交通事故に遭って死亡した人の比率を見てみると、このような事故の人口10万人当たりの死亡率は、「60~64歳」では3.3人ですが、一番死亡率が高い「80~84歳」では22.45人になり、「60~64歳」のほぼ7倍に増えています。さらに、22.45人のうち、半分以上に当たる13.72人は、自分が交通違反をしています。交通ルールを守らなかったために、事故に遭う高齢者は、想像以上に多いことがわかります。
出典:警視庁
【高齢者の思い込みや自信が事故を招く】
高齢者の歩行中の交通違反で多いのは、「自動車の直前直後の横断」「横断歩道以外の横断」「斜め横断」「信号無視」などです。
「横断歩道以外の横断」や「信号無視」が多いことから、自分が大丈夫だろうと思えば、それがルール違反であっても、実行してしまう様子がうかがえます。「自分だけは大丈夫だ」「ずっとこれでやってきたから大丈夫だ」という思い込みやいままでの自信による自負が事故を招く原因になっているケースが多いです。
出典:警視庁
【基本的な交通ルールを守りましょう】
近年、増加傾向にある高齢者の交通事故の対策は、単に運転免許証を返納して自動車の運転を止める人が増えたり、自転車などに乗らなくなって転倒事故が減少したとしても、解決するというものではありません。自転車に乗っていても、歩いていても、現役世代に比べると、ずっと事故に遭いやすくなっています。
高齢者だけでなく、全ての世代が「信号を守る」、「左右を確認してから横断する」、「右側/左側通行を守る」などの基本的な交通ルールを普段から守ることを心がけることが必要であり、若い世代も高齢者の行動の理解を深めることで事故をさらに減少させることができると言えます。
「無理な横断をしない」、「交通ルールを守る」ことを心がけましょう。